お客様からご要望をお聞きして建物の設計をしますと、素晴らしい設備と広々とした空間のプランになってしまいます。
面積が大きくなりますと消火設備や排煙設備が必要になってきます。
避難経路も2方向に逃げられる計画にする必要が出てきます。
実際に火災が起きた時に人命を守るための決め事があるからです。
そのような設備を設置しないと許可が出ませんので、建物が建てられなくなります。
見積りをしますとお客様の予算を大きく上回ってしまいます。
火災保険にはほとんど入りますが、建物が壊れて滅失するまでの間、火災は起きない場合の方が圧倒的に多いです。
ですから安全のために設置する設備は一度も使われないまま解体撤去されることになります。
考え方によっては無駄なお金を使っているとも考えられます。
建物に対する法定耐用年数も実態と大きくかけ離れています。
現在の技術ではコンクリート構造でも木構造でも100年は十分に持ちます。
設備や電気設備は持ちませんが、構造体は持ちます。
安全のために設置した設備が途中で使えなくなります。
設備の寿命が建物の寿命より短いからです。
建物の中で生活する人達が長く快適に過ごせるように設計したいのですが、そこにいろいろな決まり事を取り込むと、
無駄に思える設備を設置することになるような感じがして、不経済に思えることがあります。
とにかく建物は100年以上持つように作るべきだと考えています。